電子書籍の問題点

「2010年末に、日本で次々に電子書籍のプラットフォームが立ち上がった背景には、黒船(外資系企業)に対する警戒や恐怖がある」と書いた。だが、実際に外資系企業が日本の電子書籍市場に進出してきているのかというと、具体的な姿はまだ見えていない。

では、わが国の事業者は見えない敵と戦っているのかというと、必ずしもそうとはかぎらない。しかし、“黒船の来襲”にはまだ少し時間がかかると考える人が多い。だからこそ今、防備を固める必要があるわけだ。

ソニーの電子書籍端末「Reader」。可読性の高い日本語表示も“ウリ”の一つだ

外資系企業だけにかぎらず、電子書籍事業に参入するためには様々な要件をクリアする必要がある。何より重要なのは、コンテンツ(中身)を揃えることであり、個人である著作者と電子出版における出版契約を結ぶことである。

コンテンツを揃える作業は、人(著作者)と人(編集者)の交渉事であり、信頼関係の構築といったデリケートな内容を含む。ただし、これは事業への参入時期にかかわらない問題であり、必ずしも黒船の来襲時期とは関係しない(もちろん、周到な準備を行う時間は必要だろうが)。

中身を揃えたら、今度はそれを“盛る器”を用意しなければならない。ここで言う“器”とは、電子書籍とそれを読むためのリーダーに共通するフォーマットだ。このフォーマットは、電子書籍のコンテンツをどう記述し、記録して、配信するか、という全体を含むものであり、単にテキストデータの修飾方法や、タグの拡張だけを意味するものではない。